属性で人を論評されたら、あまりに悲しいじゃないですか!

2021年(令和3年)2月7日(日)[ブログ番号:26]

2014年のソチ冬季オリンピックでミスが続いたフィギュアスケートの浅田真央選手に、「あの子、大事なときには必ず転ぶんですよね」と論評して物議を醸したのは、森喜朗・東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長でした。

その森さんが、やっちゃいましたね〜。延期になった東京オリンピック・パラリンピック大会が7月に開幕できるのかどうか、という大事なときに、お得意の(?)失言が飛び出してしまいました。

しかも、その失言が、女性蔑視とも受け取られるものだったため、いかなる差別も認めないというオリンピック憲章や、東京オリンピックの「多様性と調和」という大会ビジョンに反しているのではないかと、批判の声が多く上がりました。

この発言は世界中で報道され、各国でも大きな批判が沸き起こっているようです。

さらに、すぐに謝罪会見を開いたものの、その会見が投げやりのような態度に見え、さらに、組織委員会の会長は辞任しない、と表明したことで、さらに批判の声は大きくなっているようです。

発言はJOC(日本オリンピック委員会)臨時総会の40分にわたるスピーチの中で出たものです。私も、ネットニュースに掲載されていた文字起こしの全文を読みました。

さすがに直接的に女性を蔑視するような言い方ではありませんが、少なくとも会議メンバーの女性に対して快く思っていないんだろうな、というのが感じられる内容でした。

スピーチの全体を読むと、とくに重要な発議をしているような感じではなく、いわば森さんのフリートーク、場を和ませる漫談のようなものなのかな、と思いました。問題となった発言も、柔道の金メダリストでJOC会長の山下泰裕さんを持ち上げ労をねぎらった流れで唐突にねじこんだ感じで、発言の意図がちょっとわからない感じがしました。とにかく日頃の不満をみんなにわかって欲しかったのでしょうかね。

しかし、マスコミも入っている公の場で、居酒屋で話すようなレベルの愚痴を披瀝してしまうというのは、総理大臣まで経験した組織のトップとしては、あまりに軽率で残念な発言だったと思いました。

でも、ネットで森さんを批判している意見の中に、私が違和感を感じたものもありました。

今回の発言が世界中で報道されたことで、「日本人のイメージが悪くなるのではないか」という意見や、森さんが83歳と高齢ということもあり、「老害。年寄りに組織委員会のトップは無理」といった意見を見かけました。

でも、「日本人だから…」「年寄りだから…」って考え方は、森さんの「女性というのは…」という発言と精神構造が一緒だと思うんです。もし、「日本人って、だからダメだよね」という外国の方がいらしたら、それ日本人に対する人種差別、民族差別ですよ、とたしなめなければなりません。

森さんの発言がダメだな、と思うのは、おそらく極めて個人的で特定的な事柄なのに、「女性というのは…」と一般論化していることだと思うんです。

私がこれまでいろんな仕事をしてきて実感するのは、社会というのは、実にさまざまな属性、バックボーン、性格、思想を持っている人たちの集まりだということです。

それなのに、属性で十把一絡げにして人間を論評するというのは、あまりに考え方が雑過ぎると思います。

言うまでもなく、日本人女性にも、男女平等の思想を持った人、男性を差別する人、また、女性を差別する人もいるでしょう。もちろん、日本人男性にも、男女平等の思想を持った人、女性を差別する人、また、男性を差別する人もいるでしょう。

同じ高齢者でも、昔の知識や経験に頼って情報をアップデートしないまま偏狭な考え方で生活する人もいれば、老若男女さまざまな人の意見を聞いて、新しい概念や考え方を積極的に取り入れて生活する高齢者もいます。

ほんと、世の中の人は、十人十色、人それぞれです。

それなのに「日本人だから〜」「歳をとっているから〜」「非正規労働だから〜」「地方出身だから〜」といった具合に、属性で人となりを論評されたら、それはあまりに悲し過ぎることだと思っています。

以上